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冥狱

注釈 5
301
原文字数
632
訳文字数
5
注釈数
~2
読了時間

📖日本語訳

張某が急死し、鬼使に連れられて冥界に至り、冥王に謁した。冥王が簿籍を調べ、鬼使が誤って捉えたことに怒り、送還を命じた。張は退き、密かに鬼使に懇願し、冥界の牢獄を見学したいと請うた。鬼は九つの冥界を案内し、刀山、剣樹を一々指し示した。最後にある場所に至ると、一人の僧が股に縄を通して逆さに吊るされ、絶望の叫びを上げていた。近づいて見ると、それは張の兄であった。張は驚き哀れみ、「何の罪でこのような罰を受けているのか?」と問うた。鬼曰く、「この僧は金銭を広く募り、その金をすべて酒を飲み、博打をし、淫行に費やしたため、罰せられている。この苦しみから脱するには、自ら懺悔しなければならない」と答えた。張は蘇生すると、兄が既に死んだのではないかと疑った。
当時、兄は興福寺に住んでいたので、張は見舞いに行った。門を入ると、すぐに痛みの叫び声が聞こえた。室に入ると、兄の股間に瘡が生え、膿血が崩れ落ち、足を壁に掛けていた。まるで冥界で逆さに吊るされた姿と同じであった。張は驚き、その理由を問うた。兄曰く、「壁に掛けると少しは楽になるが、そうしなければ心臓まで痛みが徹する」と答えた。張は冥界で見たことを告げた。僧は大いに驚き、肉酒を断ち、敬虔に経文を唱えた。半月もすると治り、以後は戒律を守る僧となった。
異史氏曰く、「冥界の牢獄は広々として見えず、悪人は常に自分を解き放つように考えるが、明らかな災いが、すなわち冥界の罰であることを知らない。これを恐れてはならないだろうか!」

📝注釈

冥府

中国伝統文化における死者の世界。冥界の王である冥王が統治し、善悪の判断を行うとされる

刀山・剣樹

中国の地獄説における罰。罪人が登らされる刀の山、針の木のこと

九つの冥界

中国の伝統的な冥界観で、九つの段階的な地獄が存在するとされる

懺悔

仏教用語。罪悪感を抱き、過ちを悔い改めること

戒僧

戒律を守る僧侶。酒、肉、色などを断ち、厳しい戒律を守る僧のこと

📜原文

张某暴卒,随鬼使去,见冥王。王稽簿,怒鬼使误捉,责令送归。张下,私浼鬼使,求观冥狱。鬼导历九幽,刀山、剑树,一一指点。末至一处,有一僧紥股穿绳而倒悬之,号痛欲绝。近视,则其兄也。张见之惊哀,问:“何罪至此?”鬼曰:“是为僧,广募金钱,悉供饮博行淫,故罚之。欲脱此厄,须其自忏。”张既苏,疑兄已死。
时其兄居兴福寺,因往探之。入门,便闻其号痛声。入室,见疮生股间,脓血崩溃,挂足壁上,宛然冥司倒悬状。骇问其故。曰:“挂之稍可,不则痛彻心腑。”张因告以所见。僧大骇,乃戒荤酒,虔诵经咒。半月寻愈。遂为戒僧。
异史氏曰:“鬼狱茫茫,恶人每以自解;而不知昭昭之祸,即冥冥之罚也。可勿惧哉!”