翻訳について

原文の美しさを現代日本語で再現する

🎯翻訳の基本方針

本サイトの翻訳は、『聊斎志異』の原文が持つ文学的な美しさと、物語の持つ深い意味を、現代の日本語読者に正確に伝えることを目指しています。

1. 原文への忠実性

原文の意味を正確に伝えることを最優先としています。文言文(古典中国語)の簡潔さと詩的な表現を、可能な限り日本語で再現しています。

2. 読みやすさとの両立

古典的な雰囲気を保ちながらも、現代の読者が理解しやすい表現を心がけています。難解な古語は避け、自然な日本語で物語の世界に入り込めるよう配慮しています。

3. 文化的背景の説明

中国特有の文化や習俗については、注釈で詳しく説明しています。読者が物語の背景を理解し、より深く作品を味わえるよう工夫しています。

✍️翻訳上の工夫

古典的な語り口の再現

原文の文言文が持つ格調高い雰囲気を、日本語の文語的表現で再現しています。

例:

「譚晋玄は、邑の諸生(秀才)なり
→ 文語の断定助動詞「なり」を使用し、古典的な語り口を演出

擬音語・擬態語の活用

原文の生き生きとした描写を、日本語の豊かな擬音語・擬態語で表現しています。

例:

「習習然」→「そよそよ」
「察察」→「ささっ」
「蠕蠕」→「うごめく」

漢語の適切な使用

中国古典に由来する漢語を適度に使用し、作品の文化的背景を保持しています。

例:

「凝神」(精神を集中する)
「逡巡」(ためらう)
「飄然」(ふわりと)

📖重要用語の扱い

中国文化特有の概念や制度については、以下のような方針で翻訳しています。

原文翻訳説明
城隍城隍(じょうこう)中国特有の概念のため、音訳し注釈で説明
秀才秀才(しゅうさい)科挙の初級合格者。日本語でも定着した用語
夜叉夜叉(やしゃ)仏教用語として日本でも知られる
蘭若蘭若(らんにゃ)/ 寺梵語の音訳。文脈により「寺」と訳すことも
太夫人太夫人(たいふじん)官吏の母への敬称。そのまま音訳

💡注釈の役割

各物語には詳細な注釈(classNotes)を付しています。注釈は以下の役割を果たしています。

📝語彙の説明

古典用語や専門用語の意味を分かりやすく解説し、読者の理解を助けます。

🏛️文化的背景

中国の歴史、習俗、信仰など、物語の背景にある文化を説明します。

🎨翻訳の工夫

特定の表現をどのように翻訳したか、その意図や工夫を説明します。

🔍文学的解釈

物語の主題や象徴的な意味について、より深い理解を提供します。

⚖️翻訳における課題と解決

課題1: 簡潔さと詳細さのバランス

原文の文言文は極めて簡潔ですが、日本語では説明を補わないと意味が通じないことがあります。

解決: 文脈から明らかな情報は補い、注釈で詳細を説明することで、本文の読みやすさを保ちます。

課題2: 文化的ニュアンスの伝達

中国特有の概念や価値観を、日本語でどう表現するかが難しい場合があります。

解決: 可能な限り原語を残し、注釈で文化的背景を詳しく説明します。

課題3: 詩的表現の再現

原文の韻律や対句などの美しさを、日本語でどう再現するかが課題です。

解決: 日本語の擬音語・擬態語や、リズム感のある表現を活用し、詩的な雰囲気を保ちます。

📚参考文献

  • 蒲松齢 著『聊斎志異』(中華書局、1962年)
  • 柴田天馬 訳『聊斎志異』(平凡社、東洋文庫)
  • 増田渉・松枝茂夫 訳『聊斎志異』(岩波文庫)
  • 今村与志雄 訳『聊斎志異』(講談社学術文庫)