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ごこたいふ

注釈 7
175
原文字数
262
訳文字数
7
注釈数
~1
読了時間

📖日本語訳

河津の人、暢體元、字は汝玉。まだ秀才であった時、夢の中で人から「五羖大夫」と呼ばれた。心中ひそかに喜び、吉祥の兆しだと思った。
後に流寇(賊徒)の乱に遭い、衣服を剥ぎ取られ、夜、空き屋に閉じ込められた。時は厳冬、極めて寒かった。暗闇の中を手探りすると、数枚の羊皮を見つけ、体に巻きつけたおかげで凍死を免れた。
夜が明けてよく見ると、羊皮はちょうど五枚であった。彼は思わず失笑し、神明が自分に冗談を言っているのだと感じたという。
後に、暢體元は明経の科挙に合格し、雒南県の知県に任命された。
この話は、畢載績先生の志書に記されている。

📝注釈

五羖大夫(ごこたいふ)

中国春秋時代、秦の穆公に仕えた名臣・百里奚の異称。彼が五張の黒羊の皮(五羖)で楚から贖われた故事に由来する。ここでは「五枚の羊皮の高官」という文字通りの意味と、故事の寓意の二重性が効いている。

秀才(しゅうさい)

科挙制度における最初の資格(生員)を持つ者。

流寇(りゅうこう)

「流れ賊」。明末清初などに横行した、定住地を持たず掠奪を繰り返す賊集団。

明経(めいけい)

唐代に設けられた科挙の一種。経書の解釈を試す科目。清代には一般に科挙合格者を指す。

知県(ちけん)

県の長官。

吉夢と凶事

「五羖大夫」という立身出世の吉夢が、現実では「五枚の羊皮で命をつなぐ」という窮乏の危機に転化する。

最後の救済

しかしその「文字通りの実現」が、結果的には彼の命を救い、さらには最終的に本当に「大夫(高官)」となる未来へとつながる。一見不条理な運命の裏に、ある種の守護や因果を見ることもできます。

📜原文

河津人暢體元,字汝玉,還是秀才時,夢見有人稱他為 “五羖大夫”,心中暗喜,以為是吉兆。後來遭遇流寇之亂,他被剝光衣服,夜裡被關在空屋子裡。當時正值寒冬,極為寒冷,他在黑暗中摸索,找到幾張羊皮裹在身上,才沒被凍死。天亮後一看,羊皮恰好有五張。他啞然失笑,覺得是神明在和自己開玩笑。後來,暢體元以明經科身份被授予雒南縣知縣。此事記載於畢載績先生的志書中。